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肥満と喘息の関係について解説します。

今回は、「肥満」と「喘息」について。

タイトルを見て、
「喘息って肥満と関係あるの?」
と思われた方も多いのではないでしょうか。

あまり知られていませんが、肥満は喘息が重症化するだけではなく、喘息発症のリスクも高めます。

(引用:環境再生保全機構





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肥満とは

肥満の定義(成人)

「肥満」と聞いて思い出すのは、「BMI」ではないでしょうか。

BMI(Body Mass Index)」とは、国際的な標準指数であり、ボディマス指数・体格指数とも呼ばれる、肥満度を示す指数です。
肥満というと「太っている」というイメージが強いですが、正確には「体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態」を言います。

「肥満症診療ガイドライン2016」では、
「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」
と肥満を定義しています。


【計算式】
「体重(Kg)」÷(「身長(m)」×「身長(m)」)



BMI(kg/m2) 判定 WHO基準
18.5未満 低体重 Underweight
 18.5~25未満  普通体重 Normal rande
25~30未満  肥満(1度)  Pre-obese
30~35未満 肥満(2度)  Obese class Ⅰ 
35~40未満 肥満(3度) Obese class Ⅱ
40以上 肥満(4度) Obese class Ⅲ
肥満度分類(日本肥満学会)

ただし、BMIは身長と体重から計算された値なので、筋肉質なのか脂肪過多なのかの判別はできません。BMIが標準でも体脂肪率が高い状態(隠れ肥満)も、近年増加傾向にあり、「BMI」を過信せず、あくまでも目安の一つとして考えましょう。


肥満の定義(小児)

BMIは、成人にのみ用いられます。
小児には小児用の計算式があり、幼児(5歳以下)学童期(6歳~15歳)で別の表を使って評価します。

「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、
「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態(有意に増加した状態とは、男児:年齢と問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」
を、肥満と定義しています。


【計算式】
肥満度(%)=100×(現在の体重-標準体重)/標準体重

幼児
15%以上:太り気味
30%以上:太りすぎ

学童期
20%以上:軽度肥満
30%以上:中等度肥満
50%以上:高度肥満
 
(引用:e-ヘルスネット



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喘息と肥満

とある研究報告では、BMIが25未満の人と比べ、25~30の人の喘息発症リスクは1.38倍30より高い場合は1.92倍にもなります。(Beuther DA et al. Am J Respir Crit Care Med 174;112-119 (2006)

その理由として、考えられる理由は色々とあります。

肥満による肺機能低下
脂肪がつくことで、横隔膜が上に上がってしまい、機能的残気量(普通に息を吐いたときに肺に残る空気量)が低下します。
1回換気量が低下すると、気道平滑筋(気道の収縮にかかわる筋肉)の収縮・減少が引き起こされ、末端気管の太さが狭まり、気道の過敏性が亢進すると考えられています。

アディポカインの分泌以上
アディポカイン(adipocytokine)は、脂肪細胞から分泌される、体の調節機能に重要な生理活性物質のことで、悪玉物質と善玉物質があります。

レプチンは満腹中枢に働きかけて食欲を抑制する働きがありますが、肥満になるとレプチンも増加し、好酸球が死ににくくなり、血中IgEの増加と気道過敏性を亢進させます。

TNF-αは血糖値を上昇させる悪玉物質ですが、慢性的な炎症を悪化させ、気道過敏性を亢進させます。

PAI-1は、血を固まりやすくする悪玉物質ですが、増加すると気道のリモデリングを招きます。

その他
運動不足による気道過敏性の亢進、肥満や睡眠時無呼吸症候群による胃食道逆流症うつ、等も関係しています。

以上のように、肥満によって脂肪量が増大すると、喘息を悪化させる要因になるのです。

(引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjiao/33/2/33_20/_pdf



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まとめ

古来、「肥満は万病の元」と言いますが、喘息に限らず、肥満は様々な病気の要因となります。
今も、COVID-19の重症化リスクとして肥満がありますし、痩せすぎも良くありませんが、太りすぎもやっぱりよくありません。
程々が一番健康的ですよね。

しかし、肥満で喘息が悪化している場合、減量で喘息が大幅に改善されることも多く、肥満の解消は推奨されています。


「喘息が酷くて運動できないからダイエットなんて無理!」という声が聞こえてきそうですが…

喘息の為のダイエットの場合、まずは主治医と相談しましょう。
どの程度の運動ならいいのか、どの程度の減量を目指すのかなど、ダイエットの計画を主治医と一緒に立てましょう。

何故かというと、テオフィリン徐放製剤は肥満の人や喫煙者には効きにくいことがあるからです。
効きにくいという事は、通常より多めに処方されているということで、減量や禁煙によって薬が効くようになっても同じ量を使うと、テオフィリンが過剰になって強い副作用が出たり、最悪テオフィリン中毒になったりするので、注意が必要なんです。
なので、減量と禁煙は、主治医に宣言することをオススメします😊

また、ダイエットだからと食事制限をするのは禁物です。
食事をとらなければ、脂肪だけでなく、筋肉も落ちます。筋肉量が減ると消費エネルギー(消費カロリー)が減るので、痩せにくくなるうえにリバウンドしやすくなります。
病院には管理栄養士さんがいることも多いので、ダイエット食を教えてもらえたりもします。管理栄養士さん提案のダイエット食、美味しいらしいんですが…私はむしろ太れと言われるので食べた事ないんですよね…。


以上、喘息と肥満の関係について解説してみた、でした。

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