発作の兆候と受診のタイミングについて解説しました。
喘息があると、ちょっとした刺激で発作を起こす可能性があります。しかし吸入ステロイドが普及し、喘息が「アレルギー性の病気」であると認知が進んでからは、発作を経験したのは1~2回くらい、と言う人も、今はだいぶ増えています。
発作が起きないというのはとてもいいことですが、そうなると、喘息発作かどうかわからない…なんてことが起こります。
また、幼い子供だと自分で「苦しい」と表現できないこともあり、喘息のない人でも喘息発作の兆候や状態を知っておくのは、とても大切なことだと思います。
また、発作が起きているかわからないのと同じように、いつ病院に行くべきなのかがわからない、という人も多いです。私、実は入院するまでそうでした…💧
そんなわけで、今回は、「喘息発作の兆候と受診のタイミングについて」です。
(引用:環境再生保全機構)
大人の喘息発作の症状
喘息は、空気の通り道である気道の中が、アレルギー等が原因で慢性的に炎症していて、少しの刺激にも敏感に反応してしまうために、咳や痰、呼吸困難、喘鳴といった症状が現れる病気です。症状をひとつずつ説明していきますね。
喘鳴(ぜんめい)
喘息発作で特徴的な症状のひとつです。気道が発作で狭くなったために、呼吸音に特徴的な音が混じります。
胸や背中に耳を当てると、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と聞こえます。これは発作が重くなると(気道狭窄)、離れていても聞こえるようになります。
この音が聞こえたら発作が起きてる、と判断しましょう。
呼吸困難(こきゅうこんなん)
こちらも、喘息発作で特徴的な症状のひとつです。呼吸をするのが苦しい、息苦しい、酸素が足りないと感じる症状で、喘息では中発作以上で呼吸困難が現れるとされています。
中発作以上になると、「苦しくて横になれない(起坐呼吸)」「動くのがかなり難しい」「SpO2が91~95%」という状態です。
呼吸困難で体内に酸素が足りないため、以下のような症状が現れます。
- 頭がぼーっとする
- 喉や胸に圧迫感がある
- 横になれず、座っているのが楽(起坐呼吸)
- 軽いめまい
- 顔色が悪い(白っぽい)
- 爪や唇が、白、または紫、黒っぽい
- 指先や足先(末端)に痺れ
- 脱力感
- 頭痛
- 呼吸・脈拍の増加
- 血圧の上昇
歩行不能、会話困難、呼吸減弱・または停止、チアノーゼ、といった症状が現れます。
重篤発作になると、呼吸ができないので喘鳴は止まります。
こうなる前に、救急車を要請しましょう。
咳嗽(がいそう)
咳のことです。気道が詰まることによる症状のひとつで、喘鳴を伴います。
喀痰(かくたん)
痰(気管分泌液)は、気管内部にくっついた異物(ホコリやウイルスなど)をからめとって外に排出されるための分泌液です。これが喘息では過剰に分泌され、狭くなった気管内部をさらにせばめてしまうため、呼吸困難が起こります。
喘息で見られる痰は、ほとんどが透明、または白っぽいもので、喉の違和感や閉塞感の原因になります。
子どもの喘息発作症状と兆候
小さい子供の場合、「苦しい」と自分で言えなかったり、自分では気づかなかったりします。なので、周囲の観察がとても大切になります。
子どもは体が未発達で小さいため、気管も細く、喘息が悪化しやすい、という特徴があります。
なので出来るだけ早く発作を発見し、速やかに受診するための知識を、本人はもとより、周囲の人も身に着けておく必要があります。
なによりも、大切な子どもが苦しんでいるのはつらいですもんね。
喘息の症状がどんなものなのか、そうなったときどう行動すればいいのか、知っていれば、それは安心につながります。なので是非、この機会に知ってほしいと思います。
子どもの喘息発作に気づくポイントは、「日常生活の状態と比べること」です。
分かりやすくするために、チェックポイント毎に分けて説明しますね。
食事
息が苦しいと、食欲がわかなかったり、食べてもすぐに止めてしまったり、むせてしまったりします。また、ストローで飲み物が飲めなくなるという事もあります。
「勧めれば食べるけど自分で食べようとしない」も息が苦しい場合があるので、おや、と思ったら呼吸の状態を確認した方がいいと思います。
遊び
遊んだり話したりすることは、呼吸に負担が掛かるので発作が起きていると遊ばなくなったり話さなくなったりします。動き回る遊びよりも座ってじっとしていたり、集中力が無くなったりもします。(これは実体験ですが💧)
睡眠
横になると呼吸が苦しくなるので、座った姿勢を好むようになります。発作が起きていない、または軽い時には眠れますが、ひどくなると苦しさで時々目を覚ますようになり、強い喘息発作になると眠るのができなくなります。
喘鳴
軽い発作の場合は、背中や胸に耳を当てると「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音が聞こえます。ひどい発作になる程、そばにいるだけでも聞こえるようになります。
聴診器でも聞こえますが、慣れていないと良く分からないので、背中の真ん中より少し上に耳を当てて、開いている方の耳は手で塞いで呼吸音を確認しましょう。
呼吸
喘息発作が起きていると、呼吸困難がでるので、息を吸う時に陥没呼吸が見られます。また、息苦しいので口呼吸になり、息を吸う(吸気)と吐く(呼気)の長さが同じくらいになる努力呼吸、という状態になります。
呼吸状態の確認のためにも、保護者のかたには知っておいてほしい状態です。いくつか種類があるのでそれぞれ解説しますね。
陥没呼吸(かんぼつこきゅう)
息を吸う時に、喉元(鎖骨の間のあたり)や、肋骨の間、お腹がへこむ呼吸が、陥没呼吸です。軽い発作だと少し引っ込むか、ないですが、強度になるとベコッと強く陥没します。
分かりやすい動画がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
(こちらも掲載元は 環境再生保全機構 です)
鼻翼呼吸(びよくこきゅう)
呼吸をするたびに小鼻が開く、小児に多い呼吸の仕方です。呼吸困難が強くなっていると出てくるので、中発作から大発作へ移行しつつあると考えられます。
肩呼吸(かたこきゅう)
呼吸困難がつよくなると、呼吸筋を総動員して呼吸しようとするので、肩が呼吸のたびに上下運動するようになります。子どもの場合、苦しさを感じなくても肩呼吸をしていて発作が起きていたりするので、肩が動いているなと思ったら発作が起きていないかを確認するようにしましょう。
(私が子供のころそうだったので…💧)
強い発作のサイン
「強い発作(強度発作)のサイン」には、いくつかあります。これが1つでも当てはまった場合、すぐに受診しましょう。
救急車を要請しても構いません。
生活の様子 | 遊べない、話せない、歩けない。(ぐったりしている) 食事がほとんど取れない。 横になれない、眠れない。 |
---|---|
全身の様子 | 顔色が悪い(白い、青い、血色がないなど) 唇や爪に赤みが無く、白や紫色、または黒っぽい(チアノーゼ) ぼーっとしている。またはいつもより興奮して暴れている。 |
呼吸や脈の様子 | 少し離れていてもゼーゼーと喘鳴が聞こえる。 息を吸う時に喉や肋骨の間がはっきりとへこむ。小鼻が開く。 脈がとても速い。 |
発作状態を評価するために、ピークフローも活用しましょう。
小児の場合は一般的に6歳以上から測定できるので、毎日のピークフローを測るのも大切です。
また、「小児喘息重症度測定と喘息コントロールテスト(Japanese Pediatric Asthma Control Program)」という、喘息コントロールのテストがあります。
JPAC喘息コントロールテストの特徴は、
「乳幼児から小児まで幅広く使えること」
「3段階でコンロール状態を判定できること」
「薬の使用状況も把握できること」
「重症度を測定できること」の4つです。
表紙もかわいく、ダウンロードしても使えるので主治医の診察の際に持参して見せることも出来ます。
リンクを貼っておきます。
発作時の対応方法について
発作の兆候がわかれば、次は「どう行動するべきか」です。日常の治療薬や症状、発作が起きた時の対応をまとめた計画書を、「行動計画(アクションプラン)」と言います。
主治医に、「発作が起きたら~~して、~~ならすぐ病院に来て」というお話があったと思います。それをさらに詳しくしたものが、行動計画です。
環境再生保全機構にテンプレートがPDFファイルでありますので、こちらも紹介しておきます。
これをダウンロードして、主治医と相談して持っておくと、いざという時慌てずに済みますね。
行動計画(アクションプラン)
発作対応のフローチャート
発作が起きた時、発作の強度によって、行動が変わります。また、小児と成人ではチャートが変わるので、それぞれで説明します。
【成人の場合】
■ 小発作(軽度)…苦しいが横になれる | |
---|---|
対処方法 | 「短時間作用性β2刺激薬」を指示された回数吸入する(20分おきに2~3回) |
効果あり | 症状が改善・薬の効果が3~4時間続く 数日以内に、主治医に発作があったことを相談すること。 |
効果なし | 症状が改善しない・薬の効果が不十分 すぐに病院を受診する。 (経口ステロイドを処方されている場合、指示された量を服用して受診する) |
■ 中発作(中等度)…苦しくて横になれない | |
対処方法 | 「短時間作用性β2刺激薬」を指示された回数吸入する(20分おきに2~3回) |
効果あり | 症状が改善・薬の効果が3~4時間続く 数日以内に、主治医に発作があったことを相談すること。 |
効果なし | 症状が改善しない・薬の効果が不十分 すぐに病院を受診する。 (経口ステロイドを処方されている場合、指示された量を服用して受診する) |
■ 大発作(高度)…動けない、意識がもうろうとしている | |
対処方法 | 慌てずに誰かに助けを求め、救急車を要請しましょう。 「短時間作用性β2刺激薬」を吸入し、経口ステロイド薬を処方されている場合は、指示された量を内服して受診しましょう。 |
【小児の場合】
「強い喘息発作のサイン」が無い場合
■処方されている気管支拡張剤を使う。(吸入薬なら15分後、内服薬なら30分後に症状を確認する) | ||
---|---|---|
よくなった | (ピークフローがPBの80%以上に回復) 8~12時間後にもう一度気管支拡張剤の吸入(または内服)をする ただし、発作を繰り返す場合は早めに主治医に相談すること。 |
|
よくなったがまだ残っている | (ピークフローがPBの80%未満) 吸入薬を使った場合は、1~2時間後にもう一度気管支拡張剤の吸入し、症状を確認する。 内服薬を使った場合は、1~2時間後にもう一度症状を確認する |
治まった |
発作を繰り返す場合は早めに主治医に相談 | ||
まだ残っている | ||
医療機関を受診する | ||
変わらない または悪化している |
(ピークフローが変わらないか悪化している) 医療機関を受診する。 |
「強い喘息発作のサイン」が1つでもある場合
受診の準備が整うまでの間に、気管支拡張薬の吸入をする。必要に応じて救急車を要請し、すぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ
普段の診察で「発作がおきたらどうすればいいか」をきちんと先生に聞いておくのも大切です。私の場合、サルタノール1回で効かなかったら、病院に連絡して、2回目を吸入しながら受診すること、となっています。総合病院なので時間関係なく診てもらえるのがいいところですね…。
たまにいますが、「喘息で救急車呼ぶのは申し訳ない」というのは間違いです。
喘息で動けないのは命の危険もあることなので、不安だったら「救急安心センター事業(#7119)」に連絡して、救急車を呼んだ方がいいのかアドバイスをもらうことも出来ます。
また、気管支拡張剤が手元にない場合は、無理せず早めに受診を考えましょう。
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